4号特例縮小について①

目次

はじめに

4号特例縮小の概要

4号特例縮小の背景とは?

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はじめに

いよいよ2025年4月から始まる4号特例。
今回は、4号特例縮小の基本的な概要と、縮小される背景について解説をします。

4号特例縮小の概要


4号特例とは、建築基準法に基づいて、特定の小規模建築物について、通常の建築確認手続きを省略することができる制度です。これにより、一定の条件を満たす小規模建築物は「4号建築物」に区分され、建築確認申請を簡略化できるという特例が設けられていました。
これは建築確認の簡素化や合理化を図ることが目的で、建築士が設計を行うことを条件に適用されています。改正後は「4号建築物」が廃止され、「新2号建築物・新3号建築物」の2種類に区分されます。

出典:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001500388.pdf

また、今回の法改正では、「住宅を含む全ての建築物について省エネ基準に適合すること」も義務付けられます。
「新3号建築物」では従来の4号と同様に「確認申請書・図書」の提出が求められます。一方で「新2号建築物」は確認申請書・図書の他に「構造関係規定等の図書」「省エネ関連の図書」も新たに提出が必要になります。

出典:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001500388.pdf

4号特例縮小の背景とは?

それでは、4号特例が縮小になった背景とは何なのでしょうか。
縮小の背景として挙げられる要因は大きく2つあります。そのうちの1つ目は「省エネ基準が厳格化」されたことです。
「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」では、2050年カーボンニュートラルに向けた省エネ化が定められています。住宅に関しては、全ての新築住宅で「省エネ基準適合」が義務付けられました。住宅の省エネ化においては、断熱材や太陽光パネルの搭載が必要になることから、建物の重量化が進みます
これにより壁量が不足することとなり、安全性が保てなくなってしまったことが、4号特例縮小の背景となっています。

4号特例縮小の背景の2つ目は、「倒壊リスクの回避」です。
これまでは、4号特例により2階建て以下の木造住宅では構造計算をしなくても問題無かったため、構造計算・壁量計算が十分でない可能性もあり、法改正前に建てられた建築物は安全性が保たれていない恐れがあるのです。従来までは建築士のモラルを信頼した制度となっていましたが、建築士の経験と勘に頼っていては建物の品質が保てないという課題があるため、倒壊リスクの回避のための厳格化が行われます。
また、近年は災害が激甚化していることもあり、より一層、建物の安全性が重要視されてきています。2024年1月に発生した能登半島地震においては、木造住宅の座屈倒壊が多かったため、住宅の耐震性能の重要性が今一度見直されています。今回の4号特例縮小によって災害時におけるリスクが減少し、安全な住環境が確保されることになるでしょう。

4号特例は、住宅が不足していた1980年代に供給量を確保するために導入されました。しかし、省エネや住宅品質向上のニーズが高まったことにより、2025年4月から変革されようとしています。施主側にとっては、適切な構造計算等が必須になるのは大きなメリットと言えます。一方で住宅会社や工務店では、今回の法改正に備えた適切な準備が求められます。

4号特例縮小について、YouTubeでも解説していますので、是非ご覧ください。

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