4号特例縮小について②
①では4号特例縮小の概要と、縮小される背景について解説しましたが、今回は4号特例の縮小による消費者側のメリットや、住宅会社や工務店、リフォーム会社にとっての課題・対策について解説していきます。
目次
4号特例縮小による消費者側のメリット
4号特例縮小による消費者側のメリットとしては、以下の4つです。
・安全性の向上
建築確認手続きが一部義務化されることにより、建築物の耐震性や耐火性などの安全基準が確実に満たされるようになります。これにより、地震や火災などの災害時におけるリスクが減少し、安全な住環境が確保されます。
・品質の向上
技術的基準の強化により、建築物の全体的な品質が向上します。これにより、建物の長寿命化やメンテナンスの必要性が減少し、長期的にはコストの削減につながる可能性があります。
・信頼性の向上
建築確認手続きの厳格化により、不適切な施工や設計ミスが減少します。これにより、消費者は安心して建物を購入または利用することができます。
・資産価値の向上
安全性や品質が向上することで、建築物の資産価値が向上する可能性があります。特に住宅の場合、高品質な建物は将来的に高い資産価値を維持しやすくなります。
一方で、4号特例縮小に伴うコストや手続きの増加、設計士の負担増により、初期費用が増える可能性があります。しかし、これらの費用は長期的なメリット(安全性、品質、資産価値の向上)によって相殺されることが期待されます。
4号特例縮小に伴う仕様規定の課題とその対応
それでは、4号特例縮小による課題とは何なのでしょうか。
今回の法改正では、木造建築物における省エネ化等による建物重量化に対応するため、壁量基準・柱の小径基準が見直されます。2階建て以下、高さ16m以下、延べ面積300m2以下のすべての小規模木造住宅・建築物が対象です。これにより、必要壁量が増え、必要となる柱の小径が大きくなることが予測できます。
構造計算(許容応力度計算)を行う方法もありますが、2階建ての木造住宅の場合は、従来通り「仕様規定(壁量計算、壁の配置、N値計算、柱の小径)」のチェックを行えば良いので計算項目は増えないとされています。
しかし、この仕様規定にも課題があります。
仕様規定に則れば、構造計算をしなくても壁量計算で足りる形になります。しかし、壁量計算のみだと、変形の建物であったり、太陽光発電等の設備の重量が加わった場合、耐震上危惧する点が出てきてしまいます。
そこで、ハウスメーカーや地場ビルダーは、仕様規定での対応ではなく、規格住宅として型式認定を取得する、もしくは1棟ごとに構造計算・許容応力度計算での対応を標準化していくことになりそうです。規格型住宅とし、セレクト住宅や注文住宅は構造計算を行い、より価値の高い住宅として差別化を図っていく流れになってくると考えられます。
2025年4月には省エネ基準への適合が義務化されますが、4号特例の縮小と省エネ基準適合義務化は、建築物のエネルギー効率向上と環境保護のために連携して進められる政策です。2029年には新たな省エネ基準が発表される見込みであり、今後も省エネ関連の法改正が続いていきます。そのため、近々での対応では無く、先々を見据えての対応が重要になってきます。
4号特例縮小について、YouTubeでも解説していますので、是非ご覧ください。
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