【非住宅市場の大転換】改修・再編が生む新しい需要

再編と改修が市場の主役に
日本の非住宅市場はいま、大きな転換点を迎えています。物流施設の大型化が進む一方で、医療・介護分野では統廃合や再編が加速。さらに高度成長期に建てられた工場やオフィスは築50〜60年を迎え、福祉施設も築30年超で大規模改修期に入っています。新築需要が減る中で「再編」「更新」「改修」が同時多発的に進み、設計・施工の新たな需要が生まれているのです。

商業施設に問われる“体験価値”
ネット通販が当たり前になった今、商業施設が選ばれる理由は「体験」と「場の価値」です。照明や動線設計といった基本はもちろん、フードコートの排水・換気や水廻りの柔軟性はテナント誘致の成否に直結します。見栄えだけでは差別化できない時代、設計段階から「仕組みとしての差別化」を組み込むことが欠かせません。

脱炭素とレジリエンスの必須化
2025年の省エネ法改正をはじめ、非住宅建築では環境性能が必須条件となっています。ZEB推進やEV充電設備など“見える環境配慮”は、金融評価やテナント企業の広報にも直結します。さらに日本は災害リスクが高い国。非常電源や断水時対応といったレジリエンス設計は、被災時に地域拠点として機能できるかを左右し、長期的な稼働率の安定を支える投資です。

柔軟性が事業収益を守る
テナントの入れ替えが頻繁に起きる時代、配管や配線の取り回し、内装材のメンテ性といった“改修のしやすさ”は収益に直結します。後付けでは対応が難しいからこそ、設計段階で意思決定することが経営リスクを抑える最大の武器となります。

未来に向けた設計視点
非住宅市場は縮小しているのではなく、課題の質が変わっています。環境性能・レジリエンス・柔軟性という三本柱を軸にした提案こそ、社会課題の解決と収益の両立につながります。構造変化を前向きに捉え、次の提案につなげていくことが、これからの成長のカギになるのです。


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