変われる会社、変われない会社

(今回は会話の中で行われたものを打ち直してコラム化させてもらっています)

清水大悟(以下、清水D):「ミスは許されない」という企業風土が、結果的に「変われない企業風土」になってしまっているんです。

━━━━━ミスは許されないですよね?それが普通じゃないですか?会社に勤めるものなら100点を取って当たり前という考え方がありますよね。

清水D:確かに今までの時代では、統計学を使って、同じような施策を打てば手堅く数字を取ることも出来ました。しかし、新しい時代、VUCAでは、何が通用するのかもわからないことも多いので、ミスは確かにしたくないものですが、そればかりを恐れてデータの存在しないところに新しく足を踏み入れることもしていかないと、結果的に会社って変われないんですよ。

━━━━━‘データの存在しないところ’と言いますと?

清水D:今の時代って、ちょうど第四次産業革命というか、新しい観念に足を突っ込んでいるところなんですよね。産業革命っていうのは、簡潔に言うと多くの人の仕事内容が変わるタイミングってことだと思います。馬車が汽車になることで、馬車を引っ張っていた人の仕事が、今度は線路を整備する仕事になったりとか。でもその変わり目のタイミングの時に線路を作ったり整備する仕事って、今までのデータには存在しないところですよね?

━━━━━なるほど、そうなるとミスとか何とか言ってられなくなりますね。

清水D:そうなんです。やってみないと分からないことは多いんですが、逆に先にやったもの勝ちみたいなところはありますし、ヨーロッパでも当時から残っている企業って、ワインの流通業やっていたかと思えば、照明器具の会社になっていたりするし、まさに革命みたいなことがわんさか起こっているんです。

━━━━━そんな中で、「変われない会社」というのはどうすればいいんでしょうか?

清水D:「最善を尽くす」ということは、事前のシミュレーションに時間をかけることではなくなっています。シミュレーションすることにしても、なかなか思う通りにはいかないですし、そもそも、その前提条件は「成熟社会」より以前の「成長社会」の時に積み上げてきたものですよね。変われない会社の多くは、良い時代を経験した中小企業なんです、そこの経営者が変わらなければ、変われないですよね。

━━━━━悩み深いところですね・・・。しかしどうやって変わったらいいんでしょう。

清水D:考えても難しいので、次の世代にバトンタッチを進めた方が早いですね。中には先進的な考え方でトライしてきた経営者の方もいらっしゃると思いますが、良い企業で10年以上も同じ人が社長を続けているのは稀ですよね。会社法でも一応10年で取締役の任期ということになってますし、企業にも創業期・成長期・成熟期っていうのがありますし、経営者の示す方針や事業展開に市場要求が合っているのかどうかというのは命題です。

━━━━━はっきり言えば、長く社長やっている会社はヤバい・・?

清水D:いえいえ(笑)事業方針・経営方針を判断するのは、10年以上やっている社長でも、もちろん良いのですが、事業を創ったり、進めたりするのは、市場ニーズに合った世代でないと難しいですね。というだけのことです。しかし、中小企業は、経営者の方針が表に出過ぎて、市場要求との乖離が出やすいんです。そこが問題ですね。次の世代へのバトンタッチが課題ですよ。

━━━━━変われない会社は、「次世代へのバトンタッチ」が課題ということですね?

清水D:中小企業といっても家族経営・同族経営が多いですしね、親は子が心配ですからね。コロナで大変な時代を乗り越えられるある程度まで会社の力をつけてからバトンタッチしたい。とか、そんな風に考える経営者の方も多いでしょう。60代の経営者ですと、最後の踏ん張りどころと捉えている方も多そうです。でも実際は、次世代を主役にして、自らはサポート役に入った方が良いんです。

━━━━━それでもちょっと心配なところはありそうですね?

清水D:まぁ最初から完璧な経営者でスタートする人はいないですし、だからこそサポートに徹する力があるときに、企業存続の力を入れるべきです。でも企業存続のための力の入れ方を間違えてはいけません。

━━━━━前経営者が介入し過ぎる問題ですか?

清水D:そうですね。現経営者でも、市場要求と合わない世代ですと難しいかもしれませんね。「介入=邪魔」になっているケースも多々あります。本人はアドバイスのつもりなんでしょうけど。

━━━━━なんだか実体験に基づくような言い方ですね(笑)

清水D:クライアントさんの中で苦労するケースがこれです。私たちがコンサルで入った時に、見えていないところで現場社員に介入しているケースは非常に苦労します。社員の方が特に可哀想です。

━━━━━清水さんのところに頼んでいるのに、清水さんがいないところで真逆のことしちゃったりしているんですか?

清水D:それなら頼まなきゃいいのに、と思いますよね。そうゆうところは最終的にフェードアウトしちゃいます。変わろうとしているお手伝いはしていきますけど、戻ろうとするお手伝いはしません。しかし、そうは言いながらも社員の方々や次世代の方々は「変わりたい」「変えていきたい」という意欲があることが多くて、本当に勿体ないなぁと思います。

━━━━━なるほど、しかしこれってどうにもならないんでしょうか?

清水D:どうにかなりますよ。経営者だけの問題として捉えがちですけど、実際のところは、経営者にハッキリ物申すことが出来ない社員側にも問題はあるんです。最初の「企業風土」というところに戻りますけど。

━━━━━おお、話が戻りましたね。

清水D:変われない世代に変わるように言っても仕方ないので、変えられる世代に、意識改革してもらうんです。ここには重要なポイントがあって、世代別によってやり方を変えるんです。X世代・Y世代・Z世代で価値観が全く異なりますので。

━━━━━意識改革とは、コンサルか研修で、・・ですか?

清水D:そうですね、どちらでもやっています。次世代研修っていう言い方をよくしてます。

━━━━━X世代は40歳以上でY世代は30代で、Z世代は若者くらいの認識でしかないですが。

清水D:大体、今のところそんな感じですね。よくインターネットでも、モチベーション2.0とかモチベーション3.0とか出てますよね?VUCAのキーワードと共に。モチベーション2.0は飴と鞭で扱かれてきた40代以上の団塊ジュニア世代です。モチベーション3.0は、Z世代と呼ばれる、市場を動かす世代ですね。

━━━━━こうやって聞くと、確かに世代間ギャップが激しそうですね。

清水D:「ミスは許されない」という考え方は、モチベーション2.0の方々ですね。X世代で40代以上の方々。失礼な言い方になってはいけないんですが、クリエイティブな発想よりも、生産的に「こなす能力」が求められていました。

━━━━━Y世代はどうです?ミレニアル世代とも言われていますね?

清水D:Y世代は丁度、狭間の世代ですね。この時代は、まさにこの世代が重要なカギを握ると思っています。台湾のオードリー・タンもギリギリこの世代ですよね。X世代で著名で成功されている方々って、このY世代の感覚を巧みに扱っているイメージです。話がそれましたが、X世代とZ世代の狭間なので、どちらの世代の考え方にも同調することが出来る世代です。逆に言うと、X世代とZ世代は、先程仰っていたように世代間ギャップが激しいんです。

━━━━━こういった特徴のある世代を別々に育てることが重要なんですね?

清水D:その通りです。X世代の方は、更にその上の世代の方々に言われてきたので、抑圧された環境の中、なかなか言いたいことも言えません。しかし、言いたいことはあるので、考えていることをきちんとプレゼンテーション出来る場と環境を創れば、すぐに結果がついてきます。

━━━━━X世代の方はプレゼンテーション能力がポイントですか。Y世代はどうですか?

清水D:Y世代はマネジメント能力です。またはコミュニケーション能力ですね。狭間の世代ということで、自分達が率先して発想するというよりも、いろいろなところから発想を集めて、マネジメントして、プロジェクト化出来る能力があると非常に良いと思います。

━━━━━さいごにZ世代の方はどうですか?

清水D:Z世代の方は、素養ですね。これはY世代の方も同じですが、割と自分達が求めている情報にだけバイアスがかかってしまい、思い込みが激しい傾向にあります。情報収集の仕方や俯瞰的な視野で物事を捉えて、問題や疑問を箇条書きにするスキルや対応策を文章化出来るようにすると良いと思います。文章も口語系が多いのがこの世代の特長です。まさに新しい時代を創る世代という感じじゃないでしょうか。でも企業として大事になってくるのはY世代だと思います。

━━━━━狭間の世代のY世代の育成が優先?

清水D:会社を変えたい・新しい時代に対応できるようにしていきたいというのであれば、30代の育成をおススメしたいと思います。大手企業なら20代ですが。これからの時代は地場の時代ですからね。私たちは地場で変わらず必要とされる会社でいるために変わり続けたいという会社を応援していきたいと思います。