【第2章】“業務そのものが変わっていく時代”に必要になる 新しいハイブリッド人材の姿

執筆:清水大悟(清水英雄事務所株式会社 代表取締役/住生活産業コンサル)

“業務そのものが変わっていく時代”に必要になる
新しいハイブリッド人材の姿

建設業界では、制度改正・人手不足・働き方改革が重なり、
業務そのものの流れが変わりつつあります。

図面の扱い方、情報の共有の仕方、工程の進め方、関係者との調整の仕方──
これまで当たり前だったやり方が、少しずつ変化しています。

ここで大事なのは、
・AIやアプリが凄いから変わる
のではなく、

「業務の仕組みが変わるから、自然とデジタルやAIも触れる必要が出てくる」
という順番だということです。

そして、この“変わる業務”を前向きにまわしていくには、
誰かが空気をつくって、やり方を整理して、みんなで前に進める必要があります。 その役割を担うのが、
現場 × 調整 × 少しのデジタル
の要素をあわせ持つ“ハイブリッド人材”です。


1.ハイブリッド人材は「ITに強い人」ではない

必要なのは“空気をつくる”力

建設業界でデジタルが進まない理由は、
ITの有無より、むしろ次のような空気感です。

・新しいツールはむずかしそう
・変な触り方をして壊したら嫌だ
・結局、現場は紙が一番ラク
・部署が違えば関係ない

これは業界全体の傾向で、誰のせいでもありません。

しかし、業務が変わり続ける今の時代では、
この空気を変えられる“現場寄りのリーダー役”が必要になります。

そして、このリーダー役こそがハイブリッド人材の第一歩です。

ポイントは、
・難しいITの専門家ではない
・新しいことを前向きに触れる
・周りに説明できる
・現場の流れを理解している
という“等身大の現場プレイヤー”であることです。


2. 業務が変わる時代は、あらゆる人に“ミニ・リーダーシップ”が求められる

以前は、
リーダースキル=部署の主任・係長・チームリーダー
というイメージが強かったと思います。

しかし今は違います。

図面のやり取り、工程の調整、制度対応、書類作成──
現場のどこを切り取っても、
自分の判断で少し前に進める力 が求められる場面が増えています。

これは、若手〜ベテランまで共通です。

・若手は“説明・共有・段取り”が求められる
・中堅は“部署間連携の要”になる
・ベテラン勢は“周りに安心感を与える役割”になる

つまり、
特定の管理職だけが持つスキルではなくなってきている
ということです。 この“ミニ・リーダーシップ”があるだけで、
その人は十分に ハイブリッド人材 と言えます。


3. 若手でも、ベテランでも

“ハイブリッド人材になれる”時代になった

AIやDXが難しく見えるのは、
「IT領域に手を出してはいけない」という
昔ながらの“見えない境界線”が残っているからです。

しかし実際のところ、
建設業界で求められるのは高度なITではなく、

・写真を共有する
・工程を見える化する
・新しい制度のポイントをメモして伝える
・少しアプリを触ってみる
・周りの人に“これ便利ですよ”と言う

この程度で十分だったりします。

むしろ、
現場を知っている人だからこそ、
小さなデジタルが大きな改善につながる。

だから、
・若手
・中堅
・ベテラン
全員がハイブリッド人材になれる土壌があります。

この考え方を社内に定着させると、
外から高額な専門人材を引き抜くよりも、
圧倒的に持続可能な組織になります。


まとめ

ハイブリッド人材とは「業務の変化に前向きで、周りを動かせる人」

ハイブリッド人材を一言で言うと、

“難しく見えるもののハードルを下げて、
普段の業務をスムーズに進められる人”

です。

・専門家ではなく
・特別なスキルでもなく
・誰でも今から育てられる

これが、今の建設業界に必要な“新しい人材像”です。 次章では、
なぜ若手や異業界人材が台頭しやすくなっているのか
年功序列の変化とスキル評価の時代に突入している背景

をわかりやすくまとめます。