住宅商品は「今の基準」で作ると、すぐ古くなる

執筆:清水大悟(清水英雄事務所株式会社 代表取締役/住生活産業コンサル)

今後押さえておかなければならないリスク

住宅商品開発における最大のリスクは、現在の制度や市場環境だけを見て判断してしまうことです。
2025年から2027年にかけて、省エネ基準の厳格化や確認申請の実務負担増など、住宅を取り巻く法規制は大きく変化します。これらは単なる手続きの問題ではなく、商品設計そのものに影響を与える要素です。

これまでのように、設計の最後で法規制を調整する、省エネ計算は外注で対応するという考え方では、時間・コスト・自由度の面で限界が見え始めています。
法規制対応を後回しにすること自体が、事業リスクになりつつあるのが現状です。


商品開発において入れ込んでおきたい要素

これからの商品開発では、確認申請や省エネ計算を前提とした設計が不可欠です。
加えて、暮らしの前提条件の変化も無視できません。

高齢化の進行により、在宅医療や在宅介護は一部の家庭だけの話ではなくなっています。温熱環境、動線計画、停電時の生活維持といった視点は、将来対応ではなく「初期設計に組み込む要素」として扱う必要があります。

防災・減災・レジリエンスについても同様です。
災害時に住み続けられるか、生活が止まらないかという視点は、すでに住宅の最低条件になりつつあります。これらを付加価値として扱う商品は、今後評価されにくくなるでしょう。


商品開発は売り方もセットアップ…世代別・趣向別

商品開発は、設計だけで完結するものではありません。
どの世代に、どのような価値として届けるのかという「売り方」まで含めて設計する必要があります。

若年層、子育て世代、高齢世代では、住宅に求めるものが異なります。また、同じ世代でも、暮らし方や価値観は多様化しています。
商品を一つ作って終わりではなく、世代別・趣向別にどう説明し、どう選ばせるのかまでを含めて商品として成立させる視点が求められます。

海外のストックビジネスが盛んな国々では、「長く使われること」を前提に設計と販売がセットで考えられています。日本の暮らしと違う、という理由で目を背けるのではなく、日本に合う形で取り入れる視点が重要です。


現在の状況しか見ていない事業者は淘汰される

今の市場環境だけを見て商品をつくり、今まで通り提案を続けた場合、消費者やマーケットから淘汰されていくのは自然な流れです。
住宅は短期的に売れればよい商品ではありません。時間が経つほど評価されるかどうかが問われます。

これから必要なのは、「今売れる商品」ではなく「10年後も残る商品」。
法規制、社会構造、暮らし方の変化を織り込んだ住宅商品だけが、次の時代でも選ばれ続けます。

住宅商品開発は、すでに未来対応の競争に入っています。