2030年代の「暮らし」はこう設計されている
― 福祉・公共建築・非住宅から見える生活インフラの未来 ―

住宅だけでは暮らしは成立しないという前提
フィンランドで感じる大きな違いは、「家を建てれば暮らしが完成する」という考え方ではないことです。
住宅はあくまで暮らしの一部であり、近くにある公共施設、福祉施設、商業、交通、自然環境などと一緒に「生活全体」が設計されています。
つまり住宅単体で価値を出すのではなく、「その場所でどんな暮らしができるか」で価値が決まっている状態です。
高齢者施設は“介護の場”ではなく“暮らしの延長”になっている

フィンランドの高齢者向け施設では、いかにも「介護施設」という閉じた雰囲気はあまりありません。
自宅の延長のような空間設計になっていて、外出もしやすく、地域の人との接点もある状態です。
スタッフが常に手取り足取り支えるというより、「自分でできることは自分で行い、必要な部分だけサポートする」という考え方で設計されています。
そのため、本人にとっても“ケアされている場所”というより、“生活を続ける場所”になっているのが特徴です。
公共施設が「生活の拠点」として使われている

例えばヘルシンキの中央図書館のような施設は、日本の図書館のイメージとは少し違います。
本を借りる場所というだけでなく、
・仕事ができるスペース
・打ち合わせができる場所
・子どもが遊べる場所
・イベントや展示が行われる場所
といったように、一つの建物の中でさまざまな使い方ができるようになっています。
そのため人が自然と集まり、そこを中心に生活が動いていくような拠点になっています。

住宅・商業・仕事場が近い距離にある街のつくり方
都市再生エリアでは、住宅だけが並ぶのではなく、
近くにオフィス、店舗、カフェ、公共施設などが配置されています。
その結果、
・近くで働く
・近くで買い物をする
・近くで過ごす
という生活が成立します。
移動時間が短くなり、街の中で生活が完結しやすくなっているのが特徴です。
住宅会社の役割はどこまで広がるのか
こうした街のつくり方を見ると、住宅会社の役割も変わっていく可能性があります。
単に家を建てるだけでなく、
・どんな人が住むのか
・どんな生活ができるのか
・周辺にどんな機能が必要か
といった「暮らし全体」を考える視点が求められるようになります。
海外視察で持ち帰るべきもの
海外視察の価値は、設備や仕様を覚えることではありません。
「暮らしの前提がどう違うのか」を体感することです。
住宅の考え方、街のつくり方、福祉の捉え方、公共施設の使い方。
それらを一つの連続したものとして見ることで、これから自分たちがどんな提案をしていくべきかのヒントが見えてきます。
最後に
今回の視察では、住宅だけでなく、福祉施設や公共建築、都市のつくり方まで含めて「暮らし全体」を見ることができます。
これからの住宅・建築ビジネスを考えるうえで、その全体像を自分の目で確認する機会として、ぜひ一度見ていただきたいと思います。
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