令和6年度 国土交通省住宅局関係予算概算要求から見える今後の重点施策②

目次

主要事項

今年の9月1日に発表された国土交通省住宅局の予算概算要求では、以下の5つの主要事項における施策を中心に、重点的に取り組むことが明記されました。

①誰もが安心して暮らせる多様な住まいの確保

②住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現

③住まい・くらしの安全確保、良好な市街地環境の整備

④既存ストックの有効活用と流通市場の形成

⑤住宅・建築分野の DX・生産性向上の推進

上記の5つの主要事項において、昨年度に比べ予算要求が拡充、継続された施策、また新規の施策について解説していきます。

今回のコラムでは②の「住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現」について見ていき、その中でも特に今後の重点施策となりそうなものについて解説します。

住宅・建築物におけるカーボンニュートラルの実現

2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向けて、住宅・建築物分野の省エネ対策の強化、木材利用の促進を図ることが目的となっています。

中大規模木造建築の普及加速化に向けた支援

「中大規模木造建築の普及加速化に向けた支援」は、木材を主要な建築材料として使用する建築物の建設を促進し、持続可能性と環境への配慮を強化するための政府や業界の取り組みです。木造建築は、CO2排出削減、木材産業の活性化、耐震性向上などの利点を持ち、持続可能な建築の一環として注目されています。

 カーボンニュートラルの実現に向け、木造化の未開拓領域であり、炭素貯蔵効果が期待できる中大規模木造建築の普及に資する優良なプロジェクトに対して支援を行うとともに、コストや施工性等において高い競争力を有し、広く展開できる構法の技術開発に対する支援への重点化を図ることについて、継続が明記されました。

出典:国土交通省 住宅局 予算概算要求

解説

「中大規模木造建築の普及加速化に向けた支援」という事業は、国土交通省と林野庁が連携して実施する事業で、中高層や大規模な木造建築物の建設を促進することを目的としています。この事業のメリットは以下の通りです。

  • 木造建築物は、炭素固定効果や環境負荷の低さなどで、脱炭素社会に貢献できます。この事業は、木造建築物の技術開発や普及に補助金や支援を行い、住宅産業に新たな市場やビジネスチャンスを創出します。

  • 木造建築物建設の促進により、国産木材の需要を高め、国内の林業や木材産業を活性化します。この事業は、国産木材の使用を促し、住宅産業と林業・木材産業との連携や協力を深めます

  • また、木造建築物特有の木材の温かみや快適さなどで、住民の満足度や健康にも寄与できます。この事業は、木造建築物の品質や安全性を向上させ、住宅産業に高い付加価値や信頼性を提供します。

「中大規模木造建築の普及加速化に向けた支援」という事業は、住宅産業にとって、環境や経済、社会の観点から多くのメリットをもたらす事業です。住宅産業は、この事業に積極的に参加し、木造建築物の技術や知識を高め、自社の事業の拡大や競争力の強化を図ることができる可能性があります。

参照:https://www.mlit.go.jp/page/content/001625456.pdf(国土交通省 住宅局 予算概算要求)

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